住民投票の結果の尊重と、小中学校へのエアコン設置を求めます 

 

 本年2月15日に行われた、「防音校舎の除湿(冷房)工事の計画的な実施」に関する住民投票の結果は、投票率31.54%、賛成56,921票、反対30,047票でした。 

 今回の住民投票は、国政選挙や市長選、議会選挙のように、候補者が多数立候補していたり、争点が沢山あったわけではなく、防音校舎へのエアコン設置の是非という限定的な問題に関する投票でした。これまで藤本市長が保護者や市民、市議会の声に耳を傾けず、住民投票に至った経過も市民にとっては分かりにくいものでした。このような今回の住民投票の特徴からすれば、所沢市民の3割を超える人が、所沢市で学ぶ子どもや所沢市の将来を考え、投票所に足を運んだことは、画期的なことと高く評価すべきです。 

 今回住民投票で特筆すべきは、藤本市長の市民への不正確な情報提供でした。藤本市長は、根拠も示さずに、かつて教育委員会が議会で答弁した全校へのエアコン設置費用の4倍近い費用がかかると主張したり、子どもは1日の内で最も暑い時間帯に学校にいるにもかかわらず、教室の1日24時間の平均気温を持ち出し、夏の教室は暑くないかのような事実に反する説明を行いました。航空機騒音の被害については国の基準や最高裁判所の判断があるにもかかわらず、これを無視しつづけました。 

 さらに、藤本市長は、その職権を利用し、学校にエアコンを設置した場合、福祉や市民サービスを削減すると市民の不安をあおる宣伝を行いました。これらは、住民投票条例に定められた市長の中立性確保義務に違反する行為であるとともに、住民投票で示される民意を歪める行為として強く非難されなければなりません。 

 このような藤本市長の不当な宣伝にもかかわらず、住民投票では65%以上の市民がエアコン設置に賛成票を投じました。所沢市民の小中学校へのエアコン設置を願う意思は明らかです。 

 藤本市長は、住民投票後、未だにエアコン設置の是非について明確な態度を表明していませんが、もはやこれ以上、市民の意思を無視することは許されません。所沢市は、住民自治基本条例を制定し、市政への住民参加と住民の意思の尊重を定めています。今回の住民投票は、市民が市政に直接参加する貴重な経験となりました。藤本市長が、この結果を尊重しなかった場合、市が市民参加を拒絶した事例として、所沢市政の歴史に汚点を残すことになります。 

 小中学校へのエアコン設置は、所沢市周辺でも、朝霞市、志木市、和光市、新座市、飯能市、狭山市等、多くの自治体で既に進められています。所沢市の住民投票の翌日、川越市でも来年までに全ての小中学校にエアコン設置を行うことが表明されました。子どもの学習権を保障する行政の義務に鑑みれば、所沢市でも小中学校へエアコン設置を行うことは当然の責務と言わなければなりません。 

 私たちは、所沢市長に対し、住民投票の結果の尊重と、市内すべての小中学校へのエアコンの設置を改めて求めます。  

 

2015年3月27日 

 平和と革新の日本をめざす所沢懇談会(所沢革新懇)